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月岡芳年の錦絵 [月岡芳年]

その一 鬼若丸(「和漢豪気揃」)

鬼若丸.jpg

「和漢豪気揃 鬼若丸」 中判 大貞(版元) 明治元年(一八六八)
中右コレクション

鬼若丸は源義経の臣、武蔵坊弁慶の幼時の名。比叡山の稚児であった頃、古池に棲み人に悪さをする大鯉をひとりで退治したという。国芳に数種の作があるが、鯉の体の上に飛び移って戦う鬼若丸の構図に新味があり、鯉の動観にも迫力がある。明治五年(一八七二)に「一魁随筆 西塔ノ鬼若丸」として再創造されている。

「和漢豪気揃」(現在十図が確認されている。)
改印はすべて明治元年四月であるが、画風から見ると、版下絵は前年以前に制作されていたようである。
伝存する作品には、題名部分のぼかし摺の有無など、摺の異なる版が見られる。彫はすべて田中彫牛による。

『別冊太陽 月岡芳年 幕末・明治を生きた奇才浮世絵師(監修=岩切友里子)』

「一魁随筆」(和漢の故事・物語の人物を描いた十三図が知られている。)

鬼若丸二.jpg


西塔ノ鬼若丸 (一魁随筆)
大判 明治五~六年(一八七二~七三)

明治元年の「和漢豪気揃 鬼若丸」と同材の作であるが、前作の構図を上下逆転させ、水中で緋鯉に組み付く構図としている。鯉の尾が画面枠外まで描かれていることによって、効果的な立体感と動感が生まれている。また、この構図は、さらに後年、画題は異なるが竪二枚継「金太郎捕鯉魚」に再生されている。本作は初版で、天笞のぼかしなど摺の異なる版も作られている。

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