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狂画の鬼才「河鍋暁斎」(その十四) [河鍋暁斎]

(その十四)「風俗鳥獣画帖」(その七 大津絵)

大津絵.jpg

「風俗鳥獣画帖」(その七 大津絵)絹本着色 (各一九・一×一四・六cm)
『特別展覧会 没後一二〇年記念 絵画の冒険者 暁斎 近代へ架ける橋(京都国立博物館)』所収「作品解説9」

 「雷神」(図六)に続く、図七は、この「大津絵」である。図六と図七との関連は、図六の「雷神」から、大津絵の「鬼」を連想し、そこから「大津絵」(図七)の世界へ転じたということになる。
 「大津絵」は、「大津絵十種」といって、主たる十の画題がある。その「大津絵十種」に因んでの「大津絵節」がある。

げほうの 梯子剃り → 寿老人(外法と大黒の梯子剃り)
雷太鼓で 釣瓶とる → 雷公の太鼓釣り
お若衆は 鷹を持つ → 鷹匠
塗笠お女郎がかたげた藤の花 → 藤娘
座頭のふんどしを犬ワンワンつきや → 座頭
びっくり仰天し 腹立ち杖をばふり上げる → (座頭) 
荒気の鬼もほっきして 鉦しもく → 鬼の寒念仏
瓢箪なまずを しっかとおさえます → 瓢箪鯰
奴さんの尻ふり行列 → 槍持奴
向ふ八巻釣鐘弁慶 → 釣鐘弁慶
矢の根男子 → 矢の根

 この「大津絵」(図七)では、右の上から、「奴」→「座頭」→「藤娘」(女郎)→「鷹匠」(若衆)→「鬼」(ここは、地上での「鬼の寒念仏」など)の図柄である。
 ここで、この図六の地上での「鬼」の「角」の「片一方の角が折れている」のは、「我を折れ」という、そういう教訓が含まれているようである。
 因みに、暁斎には、「雷公の太鼓釣り」の「雷神」図もある。

雷神図一.jpg

暁斎「風神雷神図」(双幅)のうちの「雷神図」(右幅)絹本着色 河鍋暁斎記念博物館蔵
(他に「風神図(左幅)」) 右110.9×31.9  左111.0×31.9 

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