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狂画の鬼才「河鍋暁斎」(その十三) [河鍋暁斎]

(その十三)「風俗鳥獣画帖」(その六 雷神)

鬼二.jpg

「風俗鳥獣画帖」(その六 雷神)絹本着色 (各一九・一×一四・六cm)
『特別展覧会 没後一二〇年記念 絵画の冒険者 暁斎 近代へ架ける橋(京都国立博物館)』所収「作品解説9」

 その図五の「木嵐の霊」に続いて、この「雷神」(図六)が続く。この順序からすると、前図の「木嵐の霊」は、「風神」ということになる。これは、俳諧(連句)の付合いの関係ですると、図四の「三夕」との関連では、図五は「木嵐の霊」なのだが、図六の「雷神」の関係ですると、図五は「風神」に見立て替えされているということになる。
 その関係で、この「雷神」を見て行くと、図五の「木嵐の霊」(風神)では、「空中」に「紅葉の葉が舞っている」のに比して、この図六の「雷神」では、「地上」に、「人がクワバラクワバラとチリヂリに逃げ惑っている」という図になって来る。
 しかし、この「雷神」の風貌は、暁斎の他の「雷神」に比すると、何ともユーモアのある風貌で、大きな眼を開けて、地上の人間どもが逃げ惑っている様を愉快げに見届けているようである。そして、この大きな眼は、前回紹介した、烏山石燕『画図百鬼夜行』中の「天狗」のギョロっとした眼の雰囲気なのである。
 そして、暁斎には、この「烏天狗」(「迦楼羅(かるら)」)の風貌をした「風神」図がある。

風神・烏天狗.jpg

暁斎筆「風神雷神図」 明治四年(一八七一)以降 双幅 絹本墨画 虎屋蔵 各一〇五・三×二八・八cm (左幅「風神図」の一部拡大)

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