SSブログ

狂画の鬼才「河鍋暁斎」(その十九) [河鍋暁斎]

(その十九)「風俗鳥獣画帖」(その裏一 達磨の耳かき)

達磨の耳かき.jpg

「風俗鳥獣画帖」(その十二(裏一)達磨の耳かき)絹本着色 (各一九・一×一四・六cm)
『特別展覧会 没後一二〇年記念 絵画の冒険者 暁斎 近代へ架ける橋(京都国立博物館)』所収「作品解説9」

 これは、「風俗鳥獣画帖」の十二図目に当たるのだが、これまでの「表面」ではなく、ここからは、「裏面」の「その一図」ということになる。「表面」と「裏面」との、これまた、「俳諧用語」ですると、「表」と「裏」、「表」の世界が、「俳諧式目(ルール)」に従って展開されるのに比して、「裏」の世界は、臨機応変の、言わば、「奇手の応酬」といいうことになる。
 この「奇手の応酬」の一句目は、暁斎得意の「達磨と美人図」である。今回の美人は、喜多川歌麿風の美人であるが、鈴木春信風の美人とか、その時の「場」に応じて。暁斎は、多種多様な「達磨と美人図(又は吉原図)」を描いている。
 そして、これらの暁斎の「達磨と美人図」の源流は、京都画壇の主流を占めた、円山応挙(「円山派」と「円山四条派」の頭目)に対抗する京都画壇の異端の頭目とも言うべき、曽我蕭白(「曽我蛇足十世」を自称)に因っていると解して差し支えなかろう。
 その蕭白は、「画が欲しいなら自分に頼み、絵図が欲しいなら円山主水(応挙)が良いだろう」と語ったとか(『近世名家書画談(安西雲煙著)』)、この言ですると、「風俗鳥獣画帖」の「表・一図~十一図」は、「狩野派・応挙派」の「絵図(本画)」で、この「裏・一図」からは、「蕭白派・暁斎派」の「画(狂画)」ということになる。

http://yahan.blog.so-net.ne.jp/archive/c2306129451-1


蝦蟇仙人.jpg

蕭白筆「群仙図屏風」の「左隻」(部分図・西王母と蝦蟇仙人)

達磨一.jpg

蕭白筆「達磨図」

美人一.jpg

蕭白筆「美人図」



共通テーマ:アート

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。