SSブログ

奇想画周辺(達磨二) [竹田春信]

奇想画周辺(二)「達磨遊女異装図」(竹田春信筆)

春信.jpg

「達磨遊女異装図」(竹田春信筆)心遠館蔵

 達磨が遊女の着物を着て、遊女が達磨の法衣を着ている。遊女はともかくとして、この達磨は奇妙奇天烈である。さながら「おかま・達磨」「女形(おやま)・達磨」である。達磨は「聖なるもの」、遊女は「俗なるもの」、その二人が着物を取り換えて、「聖なるものに俗を見・俗なるものに聖を見る(?)」ことをテーマにしているとか(『日本絵画のあそび・榊原悟著・岩波新書)。
 この竹田春信は、伝歴未詳の浮世絵師だが、梅翁軒永春と同一人物とかと言われている。作画期は元禄から享保の頃にかけてで、肉筆浮世絵を得意とし美人画を描いた。
 京都の曽我蕭白は、この江戸の浮世絵師などを知っていたのかどうかは不明だが、蕭白の「見返り達磨」と形相は似ている感じがする。

共通テーマ:アート

奇想画周辺(達磨一) [曽我蕭白]

奇想画周辺(一)蕭白と墨渓の達磨図

達磨図.jpg

蕭白筆・紙本墨画・一二一・三[×]五四・五cm「達磨図」

 「見返り美人」の如き「見返り達磨」である。落款に「曽我蕭白鎮酔画」とある。大きな眼・髭、そしていわゆる「達磨被(かつ)ぎ」の法衣をまとい、典型的な「達磨」図なのだが、この視線は、どう見ても、アンチ「達磨」の形相である。
『近世逸人画史』では、「草画の如きは藁に墨つけてかきまはしたる如きものあり」と、この法衣の太い、一筆描きのような描線と、畳の上で描いたのか、畳目までが浮き彫りになっている。そして、それがまた、この達磨図を一層引き立ててもいる。
 眉毛や髭の薄墨も、蕭白がテクニシャンであることを物語っている。落款の「鎮酔画」からして、酒席での即興的な「席画」なのであろう。この「席画」の一部終始を見ていた方々は、さぞかし拍手喝采をしたことであろう。
 蕭白は、「蛇足十世孫」と堂々と名乗っているが、この「蕭白」の「白」は、真珠庵方丈の達磨図
を描いた曽我蛇足一世・墨渓の「墨=黒」から来ているのであろうか。

墨渓・達磨.jpg

墨渓筆「一休賛・達磨図」(大徳寺真珠庵)部分図








共通テーマ:アート

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。